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2008年9月
九月――そろそろ秋の気配が感じられる時季。
九月九日は「重陽の節句」。
その昔、宮中で観菊の宴が催され、盃にキクの花を浮かべて飲む「菊の宴」が始まり。
九月十五日は「敬老の日」。
「老」には長い経験を積んでいる、老練の意味があり、中国では「老師」といえば先生のこと。
また、「老酒(ラオチュウ)」は、よく練れた醸造酒のこと。

昨秋から、九月九日を日本酒の「ひやおろし」解禁日にする動きが酒造業界であったが、足並みが揃わず見きり発車した次第。
「ひやおろし」は低温貯蔵庫で熟成し、秋風の立つ頃にそのまま瓶詰めしたお酒であることから、蔵元によって出荷時期が違うのは当然のことではある。

「ひやおろし」が半年寝かせてまろやかな味を楽しむ日本酒なら、三年、五年、十年、二十年と長期に熟成させた日本酒もある。
江戸時代に書かれた『本朝食鑑』によると「三年から五年ものは味が濃く香りが美しくて最も佳なり、六、七年から十年なるものは、味は薄く気は厚め、異香がして尚佳なり」とある。
充分熟成した酒は一見薄く感じるが、よく味わうと充分な味わいがあるということ。
よく熟成された酒に合う料理で、どの世代にも人気があるものといえば「肉じゃが」ではないかと思う。
味が濃く旨味がある「肉じゃが」は色も熟成酒と同じ茶色、似た者同士で相性バツグンである。
ちなみに、「肉じゃが」発祥伝説は・・・後に海軍大将となった東郷平八郎(1847〜1934)は明治初期に英国ポーツマスに留学した。
そこで食べたビーフシチューの味が忘れられず、帰国後に艦上食としてつくるよう料理長に命じたが、肝心のワインもドミグラスソースもない。
料理長が醤油と砂糖で「和製ビーフシチュー」をつくったところ、偶然に「肉じゃが」が生まれた。

日本酒は新酒もいいが、やはり半年以上熟成させたほうが旨いという日本酒通は多い。
お茶でも、半年寝かせてまろやかになった味が「閑味(かんみ)」といって好まれる。
九月はまだ暑い日が続き、ソーメン、冷麦、冷やしたウドンなどの乾麺がおいしい。
乾麺は細いほど乾燥してコシがでる。
ソーメンは二年経ったくらいで一番コシが出るそうだから、今年購入して、状態よく保存して熟成させれば来年の夏が楽しみである。
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