★第40回~
第48回
○㈱駿河酒造場
第47回 ○フランス 三回目
第46回 ○フランス 二回目
第45回 ○フランス 一回目
第44回 ○蒲酒造場
第43回
○内藤醸造
第42回
○小坂酒造場
第41回
○青木酒造
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「天虹」 ㈱駿河酒造場 静岡県静岡市駿河区西脇25-1
全国で一番新しい酒蔵が東名高速道路の静岡IC近くにある。車で訪問するなら、
名古屋ICから約2時間半走って焼津あたり、この先の日本坂トンネルを抜けると
一気に視界が広がる。眼下の安倍川を渡り500mで静岡IC。ここで降りれば5分で蔵に到着する。

酒蔵の名は㈱駿河酒造場という。
この新しい酒蔵は平成21年3月まで、掛川市で「天虹」「萩の蔵」「曽我鶴」という銘柄を造っていた。そして、平成21年4月静岡市に移り、「天虹」「萩の蔵」「忠正」銘柄を醸している。
「忠正(ちゅうまさ)」は元々現在の地で造られていた銘柄であり、
この蔵と銘柄を引き継いだ訳である。現在の蔵から
西方へ500mも行くと安倍川が南へ流れていて、南方へ2kmも進めば駿河湾が広がる。
ちなみに、東へ1.5kmも行くと歴史で習った「登呂遺跡」がある。
駿河酒造場周辺は安倍川が近いことで、この大河の伏流水が自噴しており、
この伏流水を井戸から汲み上げて酒造りに利用している。
よく小さな酒蔵の当主が、自社のことを謙遜して「お神酒(みき)酒屋」といった表現をなさるが、
駿河酒造場もその表現にあたる規模である。
この蔵の主銘柄の一つ「天虹(てんこう)」は、静岡清酒では今一番注目度が高いと言われている。
「天虹」とは、天に届く龍の道(虹)のような勢いをイメージして命名された。
使用している酒米は、山田錦(兵庫)、美山錦、日本晴(滋賀:有機肥料・減農薬米)、
誉富士(静岡産米)。酵母は静岡酵母(HD-1、New-5)、協会9号である。
杜氏は葛巻文夫氏が南部杜氏として招聘されている。
一般的な静岡清酒に感じられる香りはカプロン酸エチル(デリシャスリンゴやパインアップルの香り)といわれるが、「天虹」の香りは、上立ち香を抑え、含み香があり、飲み飽きしない味わいである。
一番お値打ち、「天虹本醸造」は協会9号酵母を用いて、キレの良い味わいに造られている。
ゆえに、「天虹」はどの酒も食中酒として清酒愛好家に受け入れやすいのである。
ところで、駿河酒造場の萩原吉宗社長は、元、大手家電メーカーの技術者であったそうだ。
蔵を見学していると社長の技術者としての矜持が感じられ、
蔵人のチームワークも相俟って、
この蔵の酒が上質な酒に仕上がるのは当たり前なのだ、と納得するのである。

酒の話を聞けば、肴も知りたくなる。
ここで静岡市周辺の話を少し述べておこう。海の幸は、シラス、カツオ、マグロ、桜エビが
有名である。駿河湾に面した由比漁港では、特に桜エビ漁が知られている。
元々桜エビは明治27年に今宿(現在の由比町)の漁師・望月平七と渡辺忠兵衛が漁に出た際、
網を海中に浮かせるのを忘れ、しかたなくそのまま海中に網を沈めた時に偶然採れたのが
キッカケで知られるようになった。桜エビは本来、深海生物(海面から200m以下に生息)なのだが、富士川、安倍川、大井川から流れ込む栄養分を求めて河口周囲の比較的浅い場所に
住んでいたのである。桜エビは世界に35種類ほど発見されているそうだが、
食用と考えているのは日本だけのようで、
他の国では「魚が食べるエビ」としてプランクトン扱いとのこと。
是非、「天虹」と「桜エビ」を合わせて楽しんでみたい。
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